国税庁から、平成20事務年度分の相続税の調査事績の発表がありました。
相続税の調査は、平成18年中及び平成19年中に発生した相続税を
中心に、国税局及び税務署において収集した資料情報に基づいて、申
告額が過少と想定されるものや、申告義務がありながら無申告となって
いることが想定されるものなどについて実施してます。
○調査件数等○
その調査件数は14,110件(前年対比101.9%)、申告漏れ件数は
12,008件(前年対比101.0%)といずれも僅かながら増加してますが、
申告漏れ課税価格は4,095億円と前年対比99.4%にとどまりまし
た。
しかし、重加算税賦課件数は2,052件と前年対比107.2%と増加
し、重加算税賦課対象額は781億円と前年対比99.8%とほぼ横ばい
となっており、深度ある調査が行われていることがわかります。
○申告漏れ財産の状況○
調査により把握された申告漏れ財産の構成比をみると、現金・預貯金
等及び有価証券の不表現資産の申告漏れのウエイトが52.5%と高い
ことから、相続税の調査は、従来同様、不表現資産の把握に重点をおい
て行われているといえます。
○海外資産の申告漏れ○
海外資産関連事案に係る調査事績は、最近の経済の国際化と国際交
流の活発化を反映して国外資産の保有が多くなっていることから、調査件
数は475件(前年比116.7%)、申告漏れ件数は337件(前年比112.9%)
といずれも増加しており、特に重加算税賦課件数は63件(前年比150.0
%)と大幅に増加してます。
相続税の申告に当たっては、被相続人の遺した不表現資産を的確に把
握することはもとより、経済の国際化に伴い、海外資産の所有も当然の時
代といえることから、海外所在資産の申告漏れ等のないよう相続人等から
的確に把握して、適正な申告をするよう努める必要があるといえます。