グループ法人税制 総論

今後の法人税制の大枠
 法人税制は、個々の法人に対する税制度であるとともに、連結グループ全体を一つの納税主体として選択した連結納税制度と、さらにその中間に位置する、100%支配グループ法人間に強制適用されるグループ法人税制度とに体系的に整理されました。

グループ法人税制の対象
 発行済株式等の100%を直接又は間接に保有する関係のある法人のことを完全支配関係にある法人といい、完全支配関係にある法人グループ内の取引や行為について規制するものです。
個人又はその個人の親族、すなわち、6親等内の血族、3親等内の姻族によって100%支配されている会社同士はグループ法人とされます。

グループ間取引の円滑化
 この制度の大きなメリットは、グループ内での資産や資金の移転を課税なしに行うことができることです。グループ法人間で行った取引については、会計上での損益の認識にかかわらず、法人税法上では原則として申告調整によりそれを留保し、一定の要件が整うまで、損益を認識しません。

 そのため、課税関係の配慮に頓着せずに効率的に事業用資産の配置換えをしたり、資金の移転をすることができます。

使いこなせればメリット
 なお多くは、グループ内の譲渡益の繰り延べのイメージで制度説明をしているものの、実は譲渡損を出しにくくすることを狙っている制度と言えなくもありません。
しかし、譲渡損を絶対的に認めないという制度ではないので、複雑になりはしたものの制度をうまく使いこなせば、逆に不都合をうまく回避しつつ、メリットを享受することができます。

創設された主項目
 次は、グループ法人税制における主な事項です。
100%グループ内の
1.法人間の資産の譲渡取引
2.法人間の非適格株式交換等
3.法人からの受取配当等
4.法人間の現物分配
5.法人間の寄附金と受贈益
6.法人間の自己株式の取得等
7.解散子会社の欠損金引継ぎ