顔の傷には性差がある?
労災で顔に傷が残った男性が女性に比べて障害等級の扱いに違いがあるのは納得できないとして訴えた裁判で、この訴えが認められ性別による差別的取り扱いは憲法違反があるとされた判決は耳に新しい事です。
この度厚生労働省は1947年施行規則が制定されて60年以上経ち、初めて、労災保険の障害等級を見直す事を決定しました。
適用されている「障害等級表」は
現行の障害等級表では外見に(頭部、顔、頸部)著しい醜状を残すものに対して、女性は7級ですが男性は12級となっています。
7級であれば平均賃金131日分の年金がずっと支給されますが、12級では平均賃金156日分の一時金となっていて、補償が大きく違います。
裁判の争点は女性を男性より上位に格付けすることは理由として①女性の方が男性より接客する職種が多い②女性は男性より外見に高い関心を持ち精神的苦痛が大きい③今までの判例が男女間に醜状障害に関して差があるという社会通念があったとしています。
このような理由に関してこの裁判では差別的取り扱いの根拠がないとは言えないが、5等級もの差は不合理であり違憲としました。
男女差を撤廃し、新等級も設置
この判決を受け、厚労省は労災保険施行規則の改正をする事としました。改正案は「著しい醜状」が残った場合は男女ともに7級、軽症の場合はともに12級に統一する、医療技術も向上し、新たに重症と軽症の中間に当たる等級の設置も盛り込まれており近年は傷が目立たないように治療できるようになったため新たに中間に9級を設け平均賃金391日分の一時金の等級も設置されました。顔の傷(醜状)を気に病み、苦痛に感じるのは男性であっても同じではないかという意見に、世間の理解も深まってきていると言えるのかもしれません。