定年制による離職の取り扱いについて
企業で定年を迎えた人を引き続き定年後も雇用する場合、高年齢者雇用安定法では継続雇用制度として「定年の定めの廃止」「定年の引き上げ」「希望者全員の継続雇用制度の導入」等のいずれかを実施するか、継続雇用の対象者を選定する場合は基準を設ける必要があります。今までこの選定基準は中小企業(常時雇用者300人以下)では、労使協定を結ばず就業規則に定めておく事でもよいとされていましたが平成23年4月からは中小企業においても、選定基準を設ける場合は労使協定を締結する事となりました。協定を締結せず、継続雇用制度に該当する高年齢者が離職した場合は、雇用保険被保険者離職証明書の離職理由が、本人の継続雇用の希望の有無にかかわらず、会社都合退職となってしまいます。各種助成金を申請予定の企業は、会社都合退職者を出す事で助成金が支給されなくなるケースもあるので注意が必要です。
継続雇用の選定基準について
それでは、どのような継続雇用制度の基準が適当なのでしょうか? 内容としては
①意欲・能力などに出来る限り具体的に則るものである事(具体性)
②必要とされている能力などが客観的に示されており、基準を満たす可能性を予見することが出来る事
(客観性)を備えている事が望ましいとされていますが、抽象的に「会社が必要と認めた者」等は基準に該当しません。
労使協定では何を決めておくか
協定届の内容は具体的な働く意欲や能力を計る人事考課等で行えれば良いですがそこまでは行わない企業も多いと思います。
協定に必要な最低限の基準としては、
①定年後引き続き勤務を希望している事、
②直近の健康診断結果が、業務遂行に支障がないと認められる事、
③過去○年間の出勤率が○%以上である事等が挙げられます。
さらに、継続雇用期間(高年法で満64歳になるまで、平成25年4月からは満65歳になるまで)と協定の有効期間を設けておく必要があります。労使異議ない時は1年更新としておく事が適当でしょう。
さらに、定年の一定期間前に継続雇用について本人に選定基準を伝え、面談する事や継続雇用の可否、継続の場合の労働条件を通知する事等も入れる方が良いでしょう。