取引先の集中は、生産や流通でコストダウンが図り易い、商品開発や情報のやり取りの連携がうまく行くなど取引メリットが多い半面、次のようなデメリットがあります。
取引先集中のデメリット
第一に、取引先の海外移転、仕入方針転換、廃業・倒産、最悪の場合は連鎖倒産など取引を失った時のダメージが大きくなります。
原材料の仕入先についても同様に、集中していると、倒産して原材料の供給がストップすれば、当社の操業ストップにつながり易くなります。
第二の問題として、価格競争力が弱くなる点があります。取引先への依存度が高ければ、価格交渉で単価引き下げ圧力につながり易く、事実下請け企業が、取引先から定期的に単価引き下げ要求を受けることが多いのです。
第三に、大口取引先を持っていれば、安定した取引に慣れ、新しい取引先開拓の熱心さに欠けることになり易く、知らず知らずの内にリスクが高まって行くことにもなります。
このように少数の取引先への過度の集中は、企業にとって大きなリスクを抱えることになりますから、ある程度計画的に取引先の集中度を低めてリスクの分散を図ることが大切です。
リスク低下の具体策
1.全体の売上目標と販売先別売上目標を決め、定期的にバランスをチェックする。
例えば、取引先1 社への売上を、全体売上の10%以内にコントロールする方針を立て、年度計画で取引先確保に取り組み、3カ月ごとにその実績比率をチェックしてアクションをとる。
2.取引先の信用情報がつかめるようにしておく。取引先が倒産すれば自社への影響は計りしれず、資産と社員を守るために、取引中止の決定も含めて、迅速な処置が必要になるので、定期的に訪社して取引先の経営実態を肌で感じる、業界の噂情報にも耳を傾け、信用調査会社の情報と付け合わせて見る、など定期的・意識的なチェックを行う。