米国のインターネット通販最奥手の「アマゾンドットコム」はこのほど、関連会社が、東京国税局から追徴課税処分を受けたと2008年の年次報告書で公表した。この処分を不服として日米の相互協議を申請し、両国の税務長局で協議中という。
関連会社は、日本での販売代金を米国で申告・納税していたが、同局は日本で申告すべきと指摘。年次報告書によると、関連会社の物流センターが約140億円を追徴課税された。
ここで問題になるのが、「恒久的施設」(PE=Permanent Establishment)。
外国法人は、日本国内に事業をするためのPEを持たなければ、日本での課税はない。関連会社はPEでないと判断したものが、同局はPEと判断し追徴課税に踏み切ったとされる。
外国法人の税務は、国内法と租税条約の両方を見ることが必要となる。
法人税施行令185条では、PEに当たるものとして、支店、出張所その他の事業所もしくは事務所、工場または倉庫と定められている。
一方の日米租税条約5条でも、事業の管理の場所、支店、事務所、工場、作業場などをPEとして規定している。
国税庁はPEについて「日本国内にPEを有するかどうかを判定するに当たっては、形式的に行うのではなく機能的な側面を重視して判定する」というところ。
たとえば、場所を問わず物品を仕入れてストックし、広告宣伝を行い営業販売するなどの事業を行っているとされれば、PEと判定されることになるようだ。
同庁では、具体的にホテルの一室を借り受けた場合を挙げ「売買契約を締結した場合はPEに該当するが、単なる製品の貯蔵庫はPEに該当しない」としている。